ガーバーデータ、ガーバーファイルとは?RS-274XやODB++とは何なのか?
PCB設計を行った後は基板の製造工程に移ります。その際に必要になるのが、ガーバーデータです。
ガーバーファイルはPCBデザインデータをファイル形式で保存したもので、ガーバーデータはそのファイルに入っているデータの事を指します。
ガーバーファイルにはPCBの配線パターン、ドリルの位置、大きさ、レジスト、シルク、外形などのガーバーデータが含まれています。
ガーバーファイルは1960年代にPCB設計と製造プロセスを改善するために発明され、1970年代にファイルフォーマットとして採用されると、一般的に広く使用されるようになりました。1980年代にRS-274-Dが登場し、ガーバーファイルのデファクトスタンダードとして確立されると、1990年代にはそれを改良したRS-274-Xが導入され、より詳細で高度な情報をガーバーファイルに収めることができるようになりました。
近年ではGerber X2やODB++といった新しいフォーマットが登場しさらに拡張されたガーバーデータの表現を可能にしています。
今回はガーバーデータのフォーマットやファイル形式とその特徴について簡単にまとめました。
RS-274-D
標準ガーバーフォーマットとも呼ばれています。
ガーバー規格の最初のバージョンでDコード(アパーチャー・リスト)を含んでいないため、製造の際にはコードを含んだ外部データが必要になります。
Dコードとは穴の形状、サイズ、位置、層の情報などを指定するためのコードです。
RS-274-X
RS-274-Dの改良版で、Dコードを含んでいるものになります。そのため拡張ガーバーフォーマットとも呼ばれています。
Gerber X2
RS-274-Xのさらなる拡張版の事です。
層、部品、ドリルなどのデータが1つのファイルで表現されいます。
そのため、多くの情報をガーバーファイルに含めることができるので、より正確なPCBデザインデータを提供し、製造プロセスの効率と品質が向上します。
ODB++
Open Databaseの略称で、PCBデザイン及び製造に使用されるGerberとは異なるフォーマットの1つです。
ODB++は非常に包括的なデータフォーマットであり、PCB設計データのみならず、部品リスト、組立情報、材料情報などPCB製造に関する様々な情報を含んでいます。
これにより、PCBの製造及び組立プロセスの全体像を提供できるため、円滑な情報伝達が可能となります。
まとめ
ガーバーデータは設計者、製造者のニーズに合わせて時代とともに進化し精度を増しています。
また、近年では設計者と製造者のコミュニケーションを円滑に行えるような仕組みもファイル内に保存されるようになっています。
このようにガーバーデータを出力する際には様々なフォーマットやファイル形式が存在しますが、どれを使用するかは、プロジェクトの要件と設計及び製造プロセスによって変わってきます。