3Dデータと3D CADソフトウェア

近年、様々な業界で活用されている3Dデータですが、このブログをご覧の皆様は、普段どのような3Dデータを使用されているでしょうか。

一般的に3DデータはX軸、Y軸、Z軸の3軸方向に対して値を持つ三次元で表現された立体のデータのことを指しています。3Dデータは現実と同じ三次元空間であるため、視覚的な形状認識を行いやすいといった特徴があります。しかし、この3Dデータを業務用途で使用する場合、単純な3次元の値を持つ3Dデータだけではなく、より多くの情報を持ったデータが必要になります。そこで、ものづくりを行う企業向けに3Dデータを作ることができるアプリケーションとして開発されたのが3D CAD(Three-Dimensional Computer-Aided Modeling)です。

3D CADは設計・製造を行うことを主眼としているため、通常は現実世界で使用されることが前提です。そのため、現実世界に合わせた3D CADモデルを作り上げることが重要となっており、各CADメーカーは様々な用途に応じたソフトウェアの開発を行っています。

3D CADモデルは設計・製造に必要となるデータになるため、実際に物体として作るための情報である寸法や重量、材質、内部構造、表面形状が必要です。そして、材料定数や、分子構造、電磁気の特性なども必要になる場合がありますし、組み立てが必要なものについては、駆動領域や固定箇所、組み立て手順などに関する情報も必要になります。

これだけでもかなりの情報量になりますが、設計・製造に必要になるものはそれだけではありません。視覚的に判断が難しい電磁場の分布や、気体や液体といった流体の挙動、熱の分布などの可視化が必要になりますし、実際に加工を行うための加工の設定や加工する機械の情報も必要です。

さらには、実際に製品を販売する場合、仕入れる部品の単価や加工機の導入費用、加工時間、ライン工程における製造機械の減価償却費用、人件費等も考慮する必要があります。ほかにも、製造部品や保守部品のライフサイクル管理や、仕入れ先、販売先の情報、プレゼンテーション用資料など、考えたらきりがないほど膨大な情報が必要になってきます。

それでは、設計・製造を行うものづくり企業にとって本当に必要な情報とは何でしょうか。

もちろん設計・製造に関するすべての情報があるとよいですが、それに伴う情報の収集や管理、データ処理のことを考えると、現実的に必要なデータというのはある程度絞ることが求められます。製品の品質や業務に対して影響しない情報や、無くても大きな問題とはならない情報もあります。自身にとって必要なデータを的確に把握し、それらを3D CADモデルとして表現することができれば、様々な取り組みをコンピュータ上の仮想空間で検討することができるようになります。

ここまでご説明すると、各社が販売している3D CADソフトウェアというのは、それぞれが定める目標を達成するために作られていることをご理解いただけるかと思います。各CADメーカーは顧客にとって必要なデータはなにかというのを考え、それを3D CADや加工用のCAM、解析用のCAEソフトウェアとして販売しています。ここで重要となってくるのは、そのソフトウェアは自身にとって必要なデータを表現することができるのかというところです。決してソフトウェアの価格で決まるものではありません。

この部分をしっかりと理解したうえで3D CADソフトウェアを導入すれば、より一層活用することができるようになるでしょう。3Dデータを活用するためには、現実世界を正確に把握することが大変重要です。3D CADの導入や3D CADの活用を検討されている方は、自社にとって必要な3Dデータは何かということをしっかりと把握したうえで、3D CADソフトウェアをご使用いただければと思います。

もし、3D CAD導入でお悩みの方がいらっしゃいましたら、宮本機器開発に是非お問合せください。お客様のご要望に応じた様々なご提案をさせていただきます。